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粉瘤

背中の粉瘤手術|費用・術式・大きくなる前の治療について

本記事では、背中の粉瘤手術を検討している方に向けて、術式・費用・術後ケアまでを一つの記事でわかりやすく解説します。

背中の粉瘤は自分では確認しにくい部位にあるため、気づいたときにはすでにかなりの大きさになっているケースが少なくありません。粉瘤は自然に消えることがほとんどなく、大きくなるほど手術の負担も大きくなる場合があります。早めに状態を把握しておくことが、結果的に選択肢を広げることにつながります。

この記事の要約

  • 背中の粉瘤手術の流れと、切開法・くり抜き法の術式の考え方
  • 保険適用の条件とサイズ別の費用目安(K005/K006)
  • 術後の体勢管理・ダウンタイム・傷跡ケアの注意点

背中のしこりが気になる方や、手術を前向きに検討されている方は、お気軽にご相談ください。

本記事は、形成外科専門医として粉瘤手術を多数手がけてきた院長が監修しています。費用・術式・術後ケアまで、受診前に知っておきたい情報をまとめています。


目次

粉瘤とは―背中にできやすい理由と放置リスク

粉瘤の構造と背中にできやすい理由を示すインフォグラフィック

粉瘤(アテローマ)の構造と発生のしくみ

粉瘤とは、皮膚の内側に袋状の構造物(嚢腫壁)が形成され、その中に角質や皮脂などの老廃物が蓄積していく良性の皮膚腫瘍です。医学的には「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」とも呼ばれます。

通常、皮膚の表面から剥がれ落ちるはずの角質細胞が、何らかの原因で皮膚の内側に入り込み、袋を形成します。袋の中には角質や皮脂が少しずつ蓄積されていくため、放置するほどに内容物が増え、しこりとして大きくなっていきます。袋の表面には小さな黒点(開口部)が見られることがあり、これが粉瘤を見分けるサインのひとつとなることがあります。

粉瘤は袋ごと取り除かない限り、内容物を出しても再び蓄積が起こります。これが粉瘤が自然には治りにくいとされる根本的な理由です。

背中に粉瘤ができやすい理由

粉瘤は体のどこにでも生じる可能性がありますが、背中は特にできやすい部位のひとつとして知られています。背中は顔に次いで皮脂腺の密度が高く、皮脂の分泌が活発な環境では毛包(毛穴)のつまりや角質の蓄積が起こりやすくなります。

また、背中の皮膚は顔や首と比べて厚みがあります。皮膚が厚い部位では皮下に形成された袋に内容物が蓄積しても外見上わかりにくいまま膨らみ続ける場合があります。さらに、衣服による慢性的な摩擦や圧迫が加わりやすい環境であることも、粉瘤の発生・拡大に関与する場合があると考えられています。

放置リスクの概要―詳しくは関連記事へ

粉瘤を放置すると、内容物の蓄積によるサイズ増大にとどまらず、炎症・周囲組織との癒着・自壊といった段階的な変化が起こりうることがわかっています。炎症を繰り返すほど手術の難易度が上がる場合があるため、気になる段階での早めの受診が望まれます。

放置した場合に起こりうる変化の詳細については、以下の関連記事で解説しています。

背中の粉瘤はなぜ大きくなりやすいのか―放置した場合に起こりうる変化

背中の粉瘤手術の流れ

背中の粉瘤手術の流れを4ステップで示すインフォグラフィック

初診・診察―しこりの状態を確認する

初診では、しこりの大きさ・位置・硬さ・炎症の有無などを視診および触診で確認します。必要に応じて超音波検査(エコー)を用いて、しこりの深さや周囲組織との関係を把握する場合があります。

炎症があり強い痛みを伴っている場合はもちろん、炎症のない落ち着いた状態の場合も、初診当日に手術を行うことが可能な場合があります。

手術当日の流れ―麻酔・切開・摘出・縫合

手術は局所麻酔で行います。麻酔の注射時に一時的な痛みを感じることがありますが、麻酔が効いた後の手術中は痛みをほとんど感じない状態で処置を受けていただける場合がほとんどです。

背中の手術ではうつ伏せの体勢をとっていただき、患部を消毒・清潔な覆いで保護したうえで処置を行います。皮膚を切開し、粉瘤の袋を周囲組織から丁寧に剥離して摘出します。摘出後は傷を縫合し、ガーゼで保護して終了となります。手術時間は粉瘤のサイズや状態によって異なりますが、小〜中程度の粉瘤であれば概ね10〜20分程度で終わる場合が多いです。

術後の処置と通院スケジュール

手術当日は傷口を保護した状態でお帰りいただきます。術後は傷の状態を確認するための通院が必要です。一般的には術後1週間前後で抜糸を行い、その後も必要に応じて経過観察の通院をお願いする場合があります。

背中は自分で傷の状態を確認しにくい部位です。術後に赤み・腫れ・滲出液の増加・痛みの増強などの変化があった場合は、通院日を待たずに早めにご連絡ください。

背中の粉瘤に用いられる術式

切開法とくり抜き法の特徴を比較するインフォグラフィック

切開法(従来法)―確実に袋を取り除く標準的な方法

切開法は、粉瘤の上の皮膚を紡錘形(楕円形)に切開し、袋を周囲組織から剥離して丸ごと摘出する術式です。粉瘤手術の標準的な方法として広く行われています。

袋を直視しながら丁寧に剥離できるため、大きな粉瘤や炎症を繰り返して周囲組織と癒着した粉瘤にも対応しやすい術式です。摘出後は縫合が必要で、術後1週間前後で抜糸を行います。切開の長さは粉瘤のサイズに応じて異なりますが、袋全体を取り切ることを優先した術式であるため、再発リスクを抑えるうえで有効な方法とされています。

くり抜き法(トレパン法)―背中で適用できる条件と特徴

くり抜き法は、粉瘤の開口部(黒点部分)にトレパンと呼ばれる円形の刃を当て、小さな穴から内容物と袋を取り出す術式です。切開法と比べて傷が小さく、縫合しない場合もあるため、術後の回復期間が短くなる場合があります。

背中の粉瘤にくり抜き法を適用できる条件としては、炎症を起こしていない状態であること、袋が比較的浅い位置にあること、開口部が明確に確認できることなどが挙げられます。袋が深部まで及んでいる場合や、炎症を繰り返して癒着が生じている場合は、切開法の方が適していると判断されることがあります。

術式の詳細な比較については以下の関連記事で解説しています。

くり抜き法と切開法の違いについて

炎症期の対応―切開排膿と二期的手術について

炎症が軽度な場合は、病変部を完全に切除し縫縮する手術をその場で行うことが可能な場合があります。

炎症が強く痛みや腫れが著しい場合は、まず患部を切開して膿や内容物を排出する処置(切開排膿)を行います。切開排膿の際に袋の摘出を試みますが、炎症期は袋の形状がはっきりしない場合があり、完全に取り切れずに残ってしまうことがあります。袋が残った場合は再発する可能性があるため、炎症が落ち着いた後に改めて摘出手術を行う二期的手術が必要になる場合があります。

院長より

『炎症を起こして強い痛みがある状態で来院される患者さんは少なくありません。「痛くて眠れなかった」「座るのもつらい」という方もいらっしゃいます。当院では、そのような場合にできるだけ初診当日に処置を行うようにしています。痛みを早く取り除くことが、患者さんの負担を減らすうえで大切だと考えているためです。炎症期は袋の形状がはっきりしないことがあり、完全に摘出できない場合もあります。その際は改めて摘出手術をお願いすることになりますが、まず痛みを取ることを優先するという判断は変わりません。』

かもがわクリニック院長 鈴木義久(形成外科専門医)

背中という部位における術式選択の考え方

背中の粉瘤は比較的大きくなりやすく、袋が深部まで及んでいるケースも少なくありません。そのため、切開法が選択されることが多い部位です。一方で、小さく浅い粉瘤で開口部が明確な場合はくり抜き法が適応となることもあります。

術式の選択は粉瘤のサイズ・深さ・炎症の有無・癒着の程度などを総合的に判断して決定します。どちらの術式が適しているかは診察時に医師にご確認ください。

背中の粉瘤手術の費用

背中の粉瘤手術のサイズ別費用目安を示すインフォグラフィック

保険適用の条件と診療報酬の考え方(K005/K006)

粉瘤の摘出手術は、健康保険が適用される保険診療として行うことができます。保険適用となる手術料は、粉瘤のサイズによって診療報酬点数が異なります。

粉瘤手術に適用される診療報酬は、炎症のない粉瘤の場合はK005(皮膚、皮下腫瘍摘出術)、炎症を伴う粉瘤の場合はK006(皮膚、皮下、粘膜下腫瘍摘出術)が算定されます。いずれも腫瘍のサイズによって点数が区分されており、サイズが大きくなるほど手術料も高くなります。

サイズ別の費用目安(3割負担の場合)

以下は令和6年度診療報酬点数をもとにした手術料の目安です。実際の費用は診察時の状態・術式・使用する材料などによって異なる場合があります。

K005(炎症なし)

腫瘍サイズ 点数 3割負担の目安
3cm未満 1,280点 約3,840円
3cm以上6cm未満 3,230点 約9,690円
6cm以上 5,870点 約17,610円

K006(炎症あり)

腫瘍サイズ 点数 3割負担の目安
3cm未満 1,660点 約4,980円
3cm以上6cm未満 3,750点 約11,250円
6cm以上12cm未満 8,310点 約24,930円

※上記は手術料のみの目安です。初診料・再診料・検査料・処方薬などは別途かかります。

初診料・処方薬など手術以外にかかる費用

手術料以外にも、以下の費用が別途かかる場合があります。

  • 初診料または再診料
  • 病理組織検査料(摘出した組織を検査する場合)
  • 処方薬(抗生剤・痛み止めなど)
  • 術後の処置料・通院料

これらを合算した総額は、粉瘤のサイズや状態、通院回数によって異なります。費用の詳細については診察時にご確認ください。

費用はあくまで目安―実際は診察時に確認を

上記の費用はあくまで診療報酬点数をもとにした目安であり、実際にかかる費用は診察時の状態・術式・保険の種類などによって変わります。また、1割・2割負担の方は上記より費用が抑えられます。

なお、粉瘤は表面に現れている大きさより、皮下に埋まっている部分の方が大きい場合があります。そのため、診察時の触診や画像検査である程度のサイズを把握することはできますが、実際に手術してみて初めて正確な大きさが確認できるケースもあります。費用のサイズ区分が変わる可能性もありますので、手術前に医師から説明を受けたうえでご確認ください。

院長より

『粉瘤は表面に見えている大きさと、実際に手術で摘出してみた大きさが異なることがあります。皮下に埋まっている部分が予想より大きかったというケースは、背中の粉瘤では珍しくありません。触診や超音波検査である程度の大きさは把握できますが、正確なサイズは手術中に確認できることがほとんどです。術前の説明の際に目安の金額をお伝えすることができますので、費用が気になる方はお気軽にご相談ください。』

かもがわクリニック院長 鈴木義久(形成外科専門医)

術後のケアとダウンタイム―背中ならではの注意点

背中の粉瘤手術後のケアと注意点を示すインフォグラフィック

術後の体勢管理―仰向け・うつ伏せの制限について

背中は術後も寝具や衣服が触れやすく、患部への摩擦や圧迫が生じやすい部位です。術後しばらくは仰向けでの就寝が難しく感じる場合があります。横向きや抱き枕を使うなど、患部への圧迫を避ける工夫が必要になることがあります。

また、リュックサックの使用や、患部に直接触れるような衣服は、傷の回復に影響を与える場合があります。術後の体勢や日常動作については、手術時に医師から個別にご説明します。

シャワー・入浴・運動の再開目安

術後のシャワーは、傷口を濡らさないよう保護した状態であれば、翌日から可能な場合があります。入浴(湯船への浸かり)は、傷が十分に回復するまで控えていただく必要があります。一般的には抜糸後を目安とすることが多いですが、傷の状態によって異なります。

運動については、軽い日常動作は術後早期から可能ですが、背中に負荷がかかるような運動(水泳・ジム・重いものを持つ作業など)は、傷の回復を確認してから再開することをおすすめします。再開の時期については術後の診察時に医師にご確認ください。

傷跡のケアと経過観察

術後の傷跡は、時間の経過とともに目立ちにくくなっていく場合があります。傷跡の状態は粉瘤のサイズ・炎症の有無・術式・個人の体質などによって異なります。ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合がありますので、気になる方は術前に医師にご相談ください。

背中は自分で傷の状態を確認しにくい部位であるため、術後の定期的な通院による経過観察が特に重要です。傷の回復が思わしくない場合や、赤み・腫れ・痛みが続く場合は、早めに受診してください。

院長より

『ケロイド体質など、傷跡が目立ちやすい体質の方がいらっしゃいます。通常、術後の傷跡は時間とともに柔らかくなり、赤みも落ち着いていく場合がほとんどです。ただし、傷跡が膨らんできた、かゆみが出てきた、目立つようになってきたという場合は、早めに受診してください。傷跡に対する治療を行うことができます。』

かもがわクリニック院長 鈴木義久(形成外科専門医)

よくある質問(FAQ)

背中の粉瘤手術に関するよくある質問をまとめたインフォグラフィック

Q1. 背中の粉瘤手術は日帰りで受けられますか?

背中の粉瘤手術は、局所麻酔で行う日帰り手術です。入院の必要はなく、手術当日にそのままお帰りいただけます。手術後は傷口を保護した状態でご帰宅いただき、翌日以降も通常の日常生活を送っていただける場合がほとんどです。ただし、手術当日の車の運転については、念のため控えていただくことをおすすめしています。

Q2. 炎症を起こしている状態でも手術はできますか?

炎症の程度によって対応が異なります。当院では痛みが強い場合は、痛みをできるだけ早く取り除くことを目的として、初診当日にできる限り処置を行うよう努めています。炎症が軽度な場合は、そのまま病変部を切除する手術を行うことが可能な場合があります。炎症が強く袋の形状がはっきりしない場合は、切開排膿を行い炎症を落ち着かせてから、改めて摘出手術を行う二期的手術になることがあります。

Q3. 背中の粉瘤手術にかかる時間はどのくらいですか?

手術時間は粉瘤のサイズ・深さ・炎症の有無などによって異なります。小〜中程度の粉瘤であれば、概ね10〜20分程度で終わる場合が多いです。炎症を繰り返して周囲組織との癒着が生じている場合や、袋が深部まで及んでいる場合は、それ以上の時間がかかることがあります。手術前に医師から目安をお伝えします。

Q4. 手術後、傷跡はどのくらい残りますか?

傷跡の程度は、粉瘤のサイズ・深さ・炎症の有無・術式・個人の体質などによって異なります。炎症のない状態で摘出した場合は比較的小さな切開で済むことが多く、術後の傷跡も目立ちにくくなる傾向があります。一方、炎症を繰り返した粉瘤や大きな粉瘤では、切開範囲が広くなる場合があります。ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合がありますので、気になる方は術前にご相談ください。

Q5. 再発することはありますか?

粉瘤の袋を完全に取り除くことができれば、再発する可能性は低いとされています。ただし、炎症を繰り返した粉瘤では袋の形状がはっきりしない場合があり、袋が一部残ってしまうことがあります。その場合は再発する可能性があります。術後に同じ部位にしこりが再び現れた場合は、早めに受診してご相談ください。

まとめ―背中の粉瘤は早期受診で対処の選択肢が広がる

背中の粉瘤は早期受診が大切であることを示すまとめインフォグラフィック

背中の粉瘤は自分では確認しにくい部位にあるため、気づいたときにはすでにかなりの大きさになっていたというケースが少なくありません。粉瘤は自然に消えることがほとんどなく、大きくなるほど手術の切開範囲が広くなる場合があります。また、炎症を繰り返すほど袋の形状がはっきりしなくなり、摘出が難しくなることがあります。

手術は局所麻酔による日帰り手術で行われ、小〜中程度の粉瘤であれば10〜20分程度で終わる場合が多いです。費用は粉瘤のサイズによって異なりますが、健康保険が適用されます。ただし、表面に現れている大きさより皮下に埋まっている部分が大きい場合があるため、実際の費用は手術後に確定することがあります。

背中のしこりが気になる方、以前より大きくなってきたと感じている方、炎症を繰り返している方は、症状が軽いうちに一度診察を受けることをおすすめします。早い段階での受診が、対処の選択肢を広げることにつながる場合があります。

かもがわクリニックでは、形成外科専門医による粉瘤の診察・手術に対応しています。背中など自分では確認しにくい部位のしこりについても、お気軽にご相談ください。

粉瘤(アテローマ)の治療について―かもがわクリニック

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院長 鈴木義久
この記事の執筆・監修者

院長 鈴木義久

かもがわクリニック院長。京都大学医学部卒業・医学博士。京都大学大学院医学研究科形成外科診療科長、滋賀医科大学形成外科学講座初代特任教授などを歴任。形成外科専門医として粉瘤・ワキガ治療を専門とし、保険適用での日帰り手術に対応。「患者さんの日常を取り戻すこと」を使命に、大阪・天六で地域医療に従事している。

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