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粉瘤

粉瘤手術の術式比較|くり抜き法vs切開法・当日手術の流れ

本記事では、粉瘤の手術を検討している方に向けて、くり抜き法と切開法の違いや当日の手術の流れを解説します。粉瘤は自然に消えることがなく、大きさや炎症の有無によって適した術式が異なるとされており、どちらを選ぶべきか判断に迷う方も少なくありません。

この記事の要約

    • くり抜き法と切開法の特徴と違い
  • 炎症の有無や大きさによる術式選びの考え方
  • 当日の手術の流れと術後の注意点

術式の選択は自己判断が難しいため、気になる症状がある方は医師の診察を受けた上でご相談ください。

本記事は、形成外科専門医である当院院長・鈴木義久の監修のもと、日々の診療経験を踏まえて構成しています。術式選びの参考としてお役立てください。

目次

粉瘤の手術とは?くり抜き法と切開法の基本

くり抜き法と切開法、それぞれの摘出方法の違いを示した図解

粉瘤手術の目的(袋ごと摘出する理由)

粉瘤は、皮膚の下に袋状の組織(嚢腫)ができ、その中に老廃物が溜まっていく良性の腫瘍です。この袋は薬などで自然に消えることがないため、根本的な改善には手術で袋ごと摘出することが基本とされています。

内容物だけを排出しても、原因となる袋の組織が残っていると再び中身が溜まり、再発につながる場合があります。そのため粉瘤の手術では、内容物と袋の両方をできる限り取り除くことが治療の目的とされています。

くり抜き法の概要

くり抜き法は、トレパンと呼ばれる円筒状の器具を使い、粉瘤の中心部分を小さく円形にくり抜いて内容物と袋を摘出する方法です。切開法に比べて皮膚を切る範囲が小さく済む場合が多く、傷を縫合せずに自然治癒を待つケースもあります。

低侵襲な手術方法として近年広く行われるようになっていますが、粉瘤の大きさや状態によっては適応が難しい場合もあります。

切開法の概要

切開法は、粉瘤の大きさに合わせて皮膚をメスで切開し、袋を破らないように周囲の組織ごと丁寧に摘出したうえで縫合する、従来から行われている手術方法です。

視野を広く確保しながら手術を行えるため、袋を取り残しにくいことが特徴とされています。一方で、切開範囲は粉瘤の大きさに応じて広くなる傾向があり、縫合や抜糸が必要になる場合があります。

くり抜き法と切開法の違い|比較表でわかりやすく解説

くり抜き法と切開法を再発リスク・傷跡・治癒期間などで比較した図解

再発リスクの違い

切開法は視野を広く確保しながら袋全体を摘出できるため、再発リスクを抑えやすい方法とされています。一方くり抜き法は摘出範囲が小さいため、袋の一部が残ってしまった場合に再発につながる可能性があるとされています。ただし、いずれの方法でも粉瘤の状態や摘出の状況によって再発の可能性はゼロではありません。

傷跡・切開サイズの違い

くり抜き法では、直径2〜5mm程度の小さな穴で摘出できる場合が多く、切開範囲を抑えやすいことが特徴です。一方、切開法では粉瘤の大きさに応じた切開が必要となります。傷跡の残り方には個人差があります。

炎症を起こしている場合の対応可否

炎症を伴う粉瘤の場合、切開法では先ず膿を出して炎症を落ち着かせる手術をして、炎症がなくなってから袋を取り除く手術を行う、2段階の治療となる場合があります。どちらの方法が適するかは、炎症の程度や粉瘤の状態によって医師が判断します。

手術時間・ダウンタイムの違い

くり抜き法は切開範囲が小さいため、手術時間が短い傾向があるとされています。ただし、傷が完全に治癒するまでの期間は切開法より長くかかる場合があります。切開法は縫合を行うため手術時間はやや長くなる傾向がありますが、傷の治癒経過は比較的安定しているとされています。

費用の違い

粉瘤の手術は、大きさや炎症の有無などにより保険適用となる場合があります。費用は術式や粉瘤の状態によって異なりますので、詳細は診察時にご確認ください。

くり抜き法 切開法
再発リスク 袋が残ると再発の可能性がある 比較的抑えやすいとされる
切開サイズ 直径2〜5mm程度の場合が多い 粉瘤の大きさに応じて広くなる場合がある
炎症時の対応 炎症の程度により対応が分かれる 2段階治療となる場合がある
手術時間 短い傾向 やや長くなる傾向
治癒までの期間 長くなる場合がある 比較的安定した経過とされる

くり抜き法が向いているケース

くり抜き法が適しているケースをまとめた図解

粉瘤のサイズ・状態による適応

くり抜き法は、比較的小さな粉瘤や、傷跡を最小限に抑えたい場合に選ばれることが多い方法です。一般的には数mm〜1cm前後の粉瘤に用いられることが多いとされていますが、適応の範囲は粉瘤の位置や状態によっても異なるため、実際に対応可能かどうかは診察での確認が必要です。

炎症時でも対応できるケース

炎症の程度が軽い場合は、くり抜き法での対応が可能なケースもあります。ただし炎症が強い場合や膿が広がっている場合には、切開法による2段階の治療が必要になることもあるため、炎症の状態に応じて医師が術式を判断します。

くり抜き法のメリット・デメリット

くり抜き法のメリットとしては、切開範囲が小さく済みやすいこと、縫合が不要な場合があること、手術時間が短い傾向にあることなどが挙げられます。

一方でデメリットとしては、袋の一部が残ってしまった場合に再発する可能性があること、傷が完全に治癒するまでにやや時間がかかる場合があることなどが挙げられます。どの方法が適しているかは、粉瘤の状態を踏まえて医師と相談しながら決めていくことが大切です。

切開法が向いているケース

切開法が適しているケースをまとめた図解

大きい粉瘤・再発を繰り返している粉瘤の場合

切開法は、粉瘤のサイズが大きい場合や、過去にくり抜き法などで再発を繰り返している場合に選ばれることが多い方法です。袋全体を視野に入れながら摘出できるため、取り残しを防ぎやすいことが特徴とされています。

炎症が強く2段階治療が必要なケース

炎症が強く、膿が広がっているような粉瘤の場合は、先ず膿を出して炎症を落ち着かせる手術を行い、炎症がなくなってから袋を取り除く手術を行うという2段階の治療が必要になることがあります。この場合は炎症の状態が落ち着くまで、袋の摘出手術を待つ必要があります。

切開法のメリット・デメリット

切開法のメリットとしては、視野を広く確保しながら袋全体を摘出しやすいこと、再発リスクを抑えやすいとされていることなどが挙げられます。

一方でデメリットとしては、粉瘤の大きさに応じて切開範囲が広くなる場合があること、縫合や抜糸が必要になること、くり抜き法に比べて手術時間がやや長くなる傾向があることなどが挙げられます。術式の最終的な判断は、診察内容を踏まえて医師とご相談ください。

術式はどちらが選ばれる?判断のポイント

術式選びの判断ステップを示したフロー図

医師による診察・エコー検査での見極め

術式の選択にあたっては、まず粉瘤の大きさ・深さ・炎症の有無などを診察やエコー検査で確認します。エコー検査では、皮膚の表面からは分かりにくい袋の広がりや深さを把握できるため、より適した術式を検討する材料になります。

患者の希望と医師の提案のすり合わせ

術式は、検査結果をもとに医師が提案したうえで、傷跡の残り方や治療期間に関する希望など、患者さまの意向もふまえながら決めていきます。同じ大きさの粉瘤であっても、状態によって適した術式が異なる場合があるため、気になる点があれば診察時に遠慮なくご相談ください。

院長より
『同じくらいの大きさの粉瘤でも、炎症の既往があるかどうかで判断が変わることがあります。過去に炎症を繰り返している場合は、再発のリスクも含めてご説明したうえで術式をご提案しています。超音波エコー検査で、周囲組織との癒着の程度をみて判断することもあります。顔面にある場合は、まずくり抜き法ができないかを検討しますが、切開法となる場合でも切開の方向に配慮し、できるだけ目立たない傷にするよう心がけています。当院の手術は美容外科手術も行っている医師が担当しています。』
かもがわクリニック院長 鈴木義久(形成外科専門医)

当日手術の流れ|受診から手術・術後説明まで

受診から術後説明までの手術当日の流れを示したフロー図

受診・カウンセリング

まず診察にて粉瘤の状態を確認し、大きさ・炎症の有無などをもとに術式について説明します。手術内容や想定される傷跡、費用などについてもこの段階でご案内し、疑問点があればご相談いただけます。

局所麻酔・手術(くり抜き法/切開法共通の流れ)

手術は局所麻酔を行ったうえで進めます。麻酔が効いてきたら、くり抜き法または切開法により内容物と袋を摘出します。手術中は痛みを感じにくい状態で進めます。

手術時間は粉瘤の大きさや術式によって異なります。当院には入院設備がないため、日帰りで対応可能な範囲の手術をお受けしています。

術後の説明・アフターケア案内

手術後は、傷の処置方法や生活上の注意点について説明します。くり抜き法・切開法いずれの場合も、経過観察のため数回の通院が必要となります。

手術に伴うリスクについて

粉瘤の手術は局所麻酔による日帰り手術ですが、出血・感染・傷跡の状態など、手術に伴うリスクが生じる可能性があります。まれに麻酔によるアレルギー反応が起こる場合もあります。気になる症状や体質などがある場合は、診察時に医師までお伝えください。

手術後の注意点とアフターケア

手術後の生活上の注意点をまとめた図解

術後の生活上の注意

手術後は、傷口を清潔に保ち、指示された処置方法に従ってケアを行うことが大切です。入浴やシャワー、運動、飲酒などについては傷の状態によって制限が設けられる場合がありますので、術後の説明に沿ってお過ごしください。

傷の治り方には個人差があり、くり抜き法・切開法いずれの場合も、赤みや腫れが一時的に生じることがあります。気になる症状がある場合は、自己判断せずご相談ください。

抜糸・経過観察のタイミング

切開法で縫合を行った場合は、術後1週間前後を目安に抜糸を行うことが一般的です。くり抜き法の場合は縫合を行わないケースもありますが、いずれの術式でも傷の治癒状況を確認するための経過観察が必要です。

通院のタイミングは粉瘤の状態や術式によって異なりますので、具体的なスケジュールは診察時にご確認ください。また、術後は複数回の通院が必要となるため、ご自宅や職場から通いやすい範囲にあるかどうかも、病院選びの際にあわせてご検討いただくことをおすすめします。

粉瘤の手術方法に関するよくある質問

くり抜き法・切開法に関するよくある質問をまとめた図解

Q1. くり抜き法と切開法はどちらが痛みが少ないですか?

いずれの術式も局所麻酔を行ったうえで手術を行うため、手術中の痛みは感じにくい状態で進めます。術後の痛みの感じ方には個人差があり、術式による差を一概に断定することはできません。

Q2. 炎症を起こしている粉瘤でもくり抜き法は受けられますか?

炎症の程度が軽い場合は、くり抜き法で対応できるケースもあります。ただし炎症が強い場合や膿が広がっている場合は、先ず膿を出して炎症を落ち着かせる手術を行い、炎症がなくなってから袋を取り除く手術を行う、切開法による2段階の治療が必要になることがあります。対応可否は診察のうえで判断します。

院長より
『粉瘤の炎症は、袋が破れた際に中身が周囲の組織に触れることで起こる炎症反応によるものとされています。炎症の状態によって、1回の手術で対応できるか、炎症を落ち着かせてから改めて手術を行う二期的な対応が必要かを判断します。実際の判断は、超音波エコー検査の所見や手術中の状態などを踏まえて総合的に行います。当院では、できるだけ1回の手術で完了できるよう努めています。』
かもがわクリニック院長 鈴木義久(形成外科専門医)

Q3. くり抜き法で再発した場合、切開法での再手術になりますか?

くり抜き法で袋の一部が残り再発した場合、粉瘤の状態によっては切開法での再手術が選択されることがあります。ただし必ずしも切開法になるとは限らず、その時点での粉瘤の大きさや状態を踏まえて医師が判断します。

Q4. 手術は日帰りできますか?

当院には入院設備がないため、くり抜き法・切開法いずれも日帰りで対応可能な範囲での手術となります。粉瘤の状態によっては、日帰り手術の適応かどうかを診察で確認させていただく場合があります。

Q5. 術式は自分で選べますか?

術式は、粉瘤の大きさ・深さ・炎症の有無などの診察結果をもとに、医師が提案いたします。傷跡の残り方や治療期間に関するご希望があれば、診察時にお伝えいただき、相談しながら決めていくことが可能です。

まとめ|粉瘤の術式は医師との相談で選ぶことが大切です

くり抜き法と切開法の特徴を対比し、医師との相談の重要性を示した図解

粉瘤の手術には、くり抜き法と切開法という2つの主な方法があり、それぞれに特徴や向いているケースがあります。くり抜き法は傷跡を抑えやすい一方、切開法は袋を取り残しにくいとされているなど、どちらが適しているかは粉瘤の大きさや炎症の有無によって異なります。

術式の選択やご自身の粉瘤がどのような状態にあるかは、自己判断が難しい部分でもあります。気になる症状がある方は、早めに医師の診察を受け、ご自身に合った治療方法についてご相談いただくことをおすすめします。

院長 鈴木義久
この記事の執筆・監修者

院長 鈴木義久

かもがわクリニック院長。京都大学医学部卒業・医学博士。京都大学大学院医学研究科形成外科診療科長、滋賀医科大学形成外科学講座初代特任教授などを歴任。形成外科専門医として粉瘤・ワキガ治療を専門とし、保険適用での日帰り手術に対応。「患者さんの日常を取り戻すこと」を使命に、大阪・天六で地域医療に従事している。

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