3-1.見分け方 悪性の癌になりますか?

粉瘤の特徴には次のようなものがあります。

  • 皮膚が少し盛り上がり、数ミリ~数センチのしこり
  • しこりの中央に黒い点(開口部)がある
  • 臭いがあるものが出てくることがある
  • 痛みやかゆみはないが、炎症を起こすと赤く腫れ上がり痛みを伴う
  • 炎症を放置すると破裂して膿がでてくる

基本的に粉瘤は袋を綺麗に取り去らなければ再発します。放置し炎症を繰り返すとがんになるとも報告されていますが、きわめてまれです。(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29681810

 

3-2.おしり、鼡径部、陰部、足の付け根、股にできもの・おできができて痛くて困っています

これらの部位に出来る痛みのあるできものは粉瘤ではない場合も多いので注意が必要です。おしり、足のつけ根(そけい部)、ワキの下、乳房の下部、肛門周囲などに起こりやすい化膿性汗腺炎という皮膚疾患の場合があります。抗生物質(化膿止めの飲み薬)で症状が軽くなりますが、完全には治らず、患部をメスで切除する手術が必要となることもあります。重症な場合は、生物学的製剤が処方されます。原因は不明な点が多く、遺伝・喫煙・肥満・細菌・機械的刺激・ホルモンが関係するとも言われています。粉瘤との区別は超音波エコー検査をしてもらうとはっきりします。できやすい場所を図示します。

できものが陰部にある場合、診察を受けるのが恥ずかしいのでがまんされ、ひどくなってから受診されます。初期であれば簡単に治療できるので早めにお越し下さい。>> かもがわクリニック天六

化膿性汗腺炎の病期と重症度 (kingslun.com)  日本皮膚科学会雑誌第131巻第1号 (jst.go.jp)

 

3-3.他のできもの しこりとの違いが分からない

石灰化上皮腫、脂肪腫、ガングリオン、脂腺嚢腫症、類皮嚢腫、神経鞘腫、耳前瘻孔などがあります。その他、まれにガン(癌)などの悪性のものもあります。医師が診れば簡単に区別が付きますが、患者さんに分かるように説明することは困難です。

詳しく知りたい方は、次のリンク先をクリックして下さい。

石灰化上皮腫 石灰化上皮腫|日本形成外科学会 (jsprs.or.jp)
脂肪腫、脂肪腫|日本形成外科学会 (jsprs.or.jp)
ガングリオン 5gangurion.pdf (jssh.or.jp)
脂腺嚢腫症
類皮嚢腫 類皮嚢腫|日本形成外科学会 (jsprs.or.jp)
神経鞘腫
毛巣洞
耳前瘻孔 耳(前)瘻孔|日本形成外科学会 (jsprs.or.jp)

 

毛巣洞
お尻にできる毛巣洞は、主に肛門の少し上(仙尾骨部正中線上)の皮膚に生じる小さな穴で、中には毛を含んでいます。長時間の運転などで座っている時間が長く、かつ多毛の男性のお尻によく生じますが、男女ともに発症します。お尻以外にも腋(わき)などに生じます。原因について、以前は先天説と後天説が対立して論じられてきましたが、現在は体毛が後天的に皮膚に刺入ことによって生じると考えられています。普段は無症状ですが、感染が起こると痛みや腫れが生じたり、膿が出てきたりします。痔瘻(じろう)や化膿した皮膚腫瘍と間違えられることがあります。(左の写真の方は、5日前から急にはれ、いたみがでてきたので受診されました)
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